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防潮堤問題を考える。若者の意見 [東日本大震災の裏話]

第三者には言わせておけばいいのですが、被災地の中で、被災していない人々が、『将来』を語り、あたかも防潮堤が悪者のように批判し、正義ぶっている姿をみると、被災者には違和感を覚えるのです。

あくまでも傾向的になりますが、被災者は、防潮堤が高いだろうが、海が見えなくなろうが、安心・安全が担保されるなら、行政が提示した防潮堤計画案に賛成する人の方が多いです。
特に、高齢者になるほどそう考えます。

ところが、被災し家族や住宅を失った若者(高校生含む)には、行政が提示した防潮堤計画案に疑問を生じている人たちもいるのも事実です。
頭の回転、考え方がちがうのですね?
歳を重ねると目先のことしか考えなくなりますが、若者は被災して辛い経験しても、次世代の地元のことなども本気になって考えているんですね!?

ある地域の防潮堤計画の協議において、そのような若者が防潮堤計画に疑問の発言を行ったら、計画推進派から横ヤリが入り、一蹴されたとのニュースを聞きました。
私は防潮堤計画案に賛成派ですが、計画推進派の一蹴するやり方は如何なものか!
と思います。

先が見えている中高年が、第三者や被災していない人たち含めて、喧々諤々しても良いと思いますが、これから未来を背負っていく若者の意見については、慎重に、尊重して取り扱うことが、『大人』だと思うのです。

地元から離れている若者が多い中、地元を良くしようと本気で思って、残っている若者は、その地元にとっては『宝物』です。
中高年の『大人』の発言、行動が、これからの被災地の復興に欠かせない若者たちを失うことにならないことを祈るばかりです。


生活再建支援金は公平?!(3) [東日本大震災の裏話]

全壊扱いの建物が残ったアパートをオーナー(大家さん)が補修を行い、前の様にアパート賃貸が可能になり、以前から住んでいたアパート住人が、基本支援金(100万円)の支給を受け、長かった避難所生活から開放され、震災前の暮らしに戻りました!
加算支援金(住宅の再建方法)の賃借(50万円)を申請し支給を受けます!

ところが、賢いアパート住民(大家さんも関与)は、元の生活に制度的には戻さないのです。
戻った状態を『みなし仮設扱い』の申請にするらしいのです。

みなし仮設とは、プレハブの仮設住宅の建設を抑えようと、民間などの空きアパートを行政が借り上げ、被災者に『プレハブ仮設住宅同様に再建できるまで無料で貸し出す』方法です。

そうなると、元のアパートに戻ったら賃料が無料なのです!

行政の支援(防災集団移転事業や災害公営住宅など)で再建予定の被災者は、まだまだ完成、入居には程遠く、まだまだ、仮説住宅に居続ける状況です。
従って、仮説住宅の役目が終わるには、まだまだ数年はかかり、震災から5,6年ガマンしなければなりません。
となると、みなし仮設住宅も通常の仮設住宅に追従しますので震災から5.6年も無料で契約できるのです。

震災前には賃料を払っていたアパートが無料になる!
それも5,6年も!

その間に払う予定だった賃料を貯めておこう!(5年無料で借りれたとしたらすごい金額!)
その間にアパート脱出の再建方法を考えよう!(新築やマンション購入)
新築・購入の際の資金に無料で貯めた賃料分を使おう!
完成・移転したら、加算支援金(住宅の再建方法)の建設。購入(200万円)を申請し支給を受けよう!

こういうことが出来る、考える、アパート住民はごくまれだとは思いますが、自宅を保有していて被災した人と自宅を保有せずに被災した人を比較すると、

『地震・津波などで全壊・大規模半壊になるリスクの高いところに住んでいる場合、賃貸住宅に住んでいたほうが良い』
と思ってしまうのは私だけでしょうか?


生活再建支援金は公平?!(2) [東日本大震災の裏話]

東日本大震災の生活再建支援金

基本支援金(住宅の被害程度で支給額が決定)
 全壊 100万円
 大規模半壊 50万円
 半壊 0円

津波の場合、全壊は1階の天井まで到達すれば適用、大規模半壊はそれ以下で床上1m以上の範囲で適用、床上1m未満は半壊扱いという基準。

全壊の中には、1階の天井位まで津波が到達はしましたが、住宅が残って補修ができるレベルが存在し、全壊・流出した世帯と同じ金額が支給される実態は、やはり納得しがたい部分がありました。

家を立て直す場合と補修する場合では費用が違うと思うのです。
水回りが多い1階が水没すれば、新築位のお金がかかる!との話もありますが、やはり家自体が残っていての全壊はちょっと疑問です。

また、同じ1階の天井までの津波の到達でも、海底を含む住宅周辺の地形や、周りの施設(住宅やビルなどの建物)の存在などにより、津波の流速が全然異なり、コップに水を入れる様な水没もあれば、川を超える様な流速によって、柱だけ辛うじて残り、家自体は残ったが、柱以外はぶち抜かれてガイコツの様な家もあり、明らかに補修の費用が極端に異なる状況においても、支援金の金額は同じというケースに不満はくすぶっていました。

特に賃貸アパートに住んでいた住人のアパート自体が残って全壊扱いになったケースは考えものです。
生活再建支援金はその住宅に住んでいた人が対象です。
即ち、アパートのオーナー(大家さん)ではなく、借りて住んでいた人に支給されるのです。
借りて住んでいた人は、アパートを補修する必要はなく、補修は大家さんが保険などを使って補修するでしょうから、アパート住人の被害はアパートに持ち込んだ家具や電化製品などの私物だけということになります。

自宅を無くして家を再建しなければならない人と、アパートで私物のみ被害を受けた人が同じ基本支援金をもらうのです。
被害額が極端に違うのに、支援金は同じ、これが平等なのでしょうか?


それだけなら、まだいいのですが、制度を悪用するアパート住人もいるらしいのです。




生活再建支援金は公平!?(1) [東日本大震災の裏話]

日本赤十字を始め、多くの団体、個人からの支援物資や寄付は被害者が生きる上で本当に助かりました。
寄付した方が閲覧していましたら、改めて御礼申し上げます。

さて、被害者が公的な支援金として、生活再建支援金が法律に従って支給されます。
その支援金について少し考察してみたいと思います。

生活再建支援金は自然災害によって住宅が被害に遭った場合に支給される制度で、自然災害の大きさによって適用されるかどうか法律によって定められているます。

東日本大震災においては、
1)基本支援金(住宅の被害程度で支給額が決定)
 全壊 100万円
 大規模半壊 50万円
 半壊 0円
2)加算支援金(住宅の再建方法により支給額が決定)
 再建・購入 200万円
 補修 100万円
 賃借 50万円
以上、2段階に分かれ、最大300万円の支給になります。
(単身世帯は減額になります)

制度にはいろいろな基準があり、この生活再建支援金制度も上述した基準によって運用されているのですが、公平かどうかというと、ちょっと疑問が生じるケースがあります。

まず、津波の被害における全壊と大規模半壊の判定基準の問題がありました。
基礎を残して流失してしまった住宅は明らかに全壊とはっきりするのですが、家が残って場合に、津波が流入した高さによって、全壊か大規模半壊か半壊かの基準がちょっと曖昧で判定者によってもばらつきがあった様です。

全壊は1階の天井まで到達すれば適用、大規模半壊はそれ以下で床上1m以上の範囲で適用、床上1m未満は半壊扱いという基準だったと思います。
ところが、同じ地区で、流出を免れた家において、全壊判定と大規模半壊判定に分かれてしまい、クレームを発するケースがあったらしいのです。
一度判定した結果はめったにくつがえりません。
一度くつがえしてしまえば波及してしまう可能性があるので行政は正当化します。
しかし、地元では不平不満が吹き出します。
中には、地元の他の住宅を考慮して、全壊判定を大規模半壊に格下げを申し出た住民もいたらしいです。
金額より、その後の地域の付き合いを優先した判断だと思います。

また、大規模半壊と半壊(加算支援金も対象外)の判定においても、支援金がもらえるか、もらえないかの堺になりますから、判定によって不平不満はあったものと推測します。
でも、この部分はあまり公にはならなかった様です。
被害が甚大過ぎたために、大規模半壊、半壊レベルの世帯は『家が残っただけでもマシ』って周りを気遣って、あまり貪欲にはならなかった様にも感じます。

そんな中、行政は悪い方には見直ししませんが、あるところのマンションでは大規模半壊の判定し、支援金を支給した後に、判定が間違って実は半壊だったので、支給した支援金を返してください。
という事態が発生し、マンション住民が裁判を起こしたというニュースがありました。

全壊、流失して被害者の立場としては・・・・。

防潮堤問題を考える。議論のスパンが異なる! [東日本大震災の裏話]

被災者は行政が提示した防潮堤案を容認し、被災しなかった人や第三者は膨張提案に異議(ほとんどが高すぎる)を発してしる傾向があることを前述しましたが、そもそも、それぞれの意見には考えているスパンが違いすぎている、という感じがしてなりません。

東日本大震災から3年半が経過し、独自再建、災害公営住宅や防災集団移転事業に申し込み、恒久的な生活再建できたのは、まだ数割しかいません。
未だに多くの被災者が仮設住宅(みなし仮設含む)や仮住居で我慢し、永住の場所に移ることを首を長くして待っているのです。

防潮堤の高さがシミュレーションによる危険区域の設定に影響し、危険区域には住宅建設が制限されることから、今更、防潮堤の高さが見直しされ、危険区域が変動し、生活再建の道筋に影響なんかあったら、とんでもない!ということになるのです。

被災者の高齢者は、『何とか生きているうちに、仮設から脱出し、永住の家に住みたい!』と、考えているスパンは、ごく短いのです。
その願いさえ、叶えることができず、亡くなっていく高齢者も多くいます。
私だって、あと30年生きるかどうか・・・。
考えるスパンは、その生きている間に・・・。が優先されてしまうのです。

ところが、第三者には言わせておけばいいのですが、被災地の中で、被災していない人々が、『将来』を語り、あたかも防潮堤が悪者のように批判し、正義ぶっている姿をみると、被災者には違和感を覚えるのです。

守る物(最低限、人命と住宅)がないなら防潮堤は要りません。しかし、その防潮堤がある前提で、安全で安心な住宅を再建し、生活していかなければならない被災者の実情は分かってもらいたいものです。

将来について全然、気にしていないか?というと違います。
箱物公共事業が悪者扱いされていた時期からは逆行している状況からは自然破壊や老朽化などの問題のリスクだってあると思います。
今になって真っ向に分かれている諫早湾干拓事業の結末のようにならない保証はありません。
被災者は別にコンクリートの防潮堤だけにこだわっている訳ではありません。
それ以外の方法でも、同じようなシミュレーション結果で、安心・安全な生活再建が保証されれば前で進めることができます。

スパンが異なったままで議論だけするのではなく、被災者の事情をも勘案し、迅速で安全・安心な生活再建を推進する前提にて、将来、負の遺産にならないように知恵を絞っていく、すり合わせが必要なんだと思います。





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